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糖尿病の子どもたち

  • yaho604
  • 2015年10月22日
  • 読了時間: 3分

今回の絵画展で描いた子どもたちは、みんな糖尿病を患っています。 原発事故が体に与える影響といえば、がんや白血病をはじめ、心疾患、呼吸器官系の疾患などがよく挙げられますが、糖尿病というのは意見が分かれている印象を受けています。

様々な見解を報告をしている専門家や機関がありますが、国際糖尿病連合(以下IDF)のによると、ベラルーシ政府の発表では人口の1.9%(約18万人)が糖尿病と診断されていますが、IDFの調査では約9.2%が糖尿病であるとの疑いがあり、発表数の差に開きがあります。またIPPNW(核戦争防止国際医師会議)は、チェルノブイリ原発事故後に小児糖尿病の数が増えたと報告しています。

私と糖尿病の子どもたちの出会いは、ベラルーシの財団「子どもたちに喜びを」の糖尿病の子どもを対象とした支援プログラム「糖尿病とともに生きる(Life with diabetes)」に同行させてもらった時でした。

子どもたちは全員Ⅰ型糖尿病(肥満などによって発症するのではなく、血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されなくなり、発症する)であり、病院や知り合いにこのプログラムを勧められて参加したそうです。

10~16歳の16人の子どもたちは4泊5日のプログラムで、食事に関する知識、血糖値の測り方、インスリン注射の打ち方などを教えられ、そして生きる上での糖尿病との向き合い方を学びます。糖尿病は一生治らない病気ですが、このプログラムでは「糖尿病はライフスタイル」、ともに過ごす伴侶のようなものだと伝えます。

糖尿病にかかり結婚や妊娠(糖尿病は胎児に影響はありません。)などに不安を持って将来を悲観する子供も多くいる中、このプログラムを通して、たくさんの子どもたちが将来に希望を持ち、それぞれの道を歩んでいきます。

以前ブログにも書いたようにベラルーシの政治は独裁主義です。またチェルノブイリ原発事故も時と共になかったことにされつつあり、このような団体でさえも活動しにくくなっています。 

命の視点からも政治的な視点からも暗い影に包まれているベラルーシの子どもたちが希望を失わず、生きる力にあふれる姿は本当にまぶしく感じました。

もう一つ、この子どもたちの輝きは、どんな苦難も必死でもがき、くぐりぬける大人たちの絶え間ない努力の結晶だとも感じます。

私は福島原発事故後から自分なりに活動してきましたが、放射能汚染、甲状腺がん、政府の対応、原発再稼働…問題が次々と押し寄せ、福島のことを考え行動し続ける事に意味があるのか、子どもたち、私たちの未来に光はあるのだろうか、と絶望感に襲われる時が何度もありました。

しかしベラルーシの体験から、この努力は子どもたちの本当の笑顔を守ることに繋がっている。絶望を乗り越える光をもらいました。

どんなに困難でも、本当に大切なことは何かを見極め、現実を注視し、自分たちの未来を守る努力を絶え間なく続けていく。 そしてこの事を、もっと多くの日本人が決意しなければならないんだと、日本の未来の一つのかたちであるベラルーシは教えてくれた気がします。

プログラムを受けた子供たちとともに

≪参考資料≫​

FoE Japan ベラルーシ訪問(訪問先の報告)

http://www.foejapan.org/energy/evt/150711.html

Cristian Andriciuc “Country Report: Belarus” International Diabetes Federation, 2009

IPPNW “Health Effects of Chernobyl 25 years after the reactor catastrophe” (April 2011)

 
 
 

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