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Future について

 

ベラルーシはソ連崩壊にと伴って誕生した東ヨーロッパに位置する国である。

人口950万人、日本のおよそ半分の国土のうち3分の1が森を占める。

 

1986年、隣国ウクライナのチェルノブイリ原発で事故が発生し、南風に乗って国境を越えた放射性物質の70%がベラルーシに降り落ちた。

苦難の地で、Ⅰ型糖尿病と向き合う思春期の子どもたちの中に渦巻く未来への不安と葛藤、そして希望は、

言葉にならない光と影になって私たちに衝き刺さる。

彼らが見せた運命、そして生命の輝きに、私たちが学ばなければならないものは何か。

 

"Future" is an art exhibition by Chihiro Yashima.
My work is greatly inspired by the Chernobyl affected people in Belarus,and my own experiences in Fukushima.

 

 

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  ごあいさつ

 

 私は3.11と原発事故をきっかけに、自分なりの目線で福島を見つめてきましたが、4年が経っても私の中から放射能への不安はぬぐえないままでした。街が復興することに否定的ではありませんが、連日のニュースで報道される汚染水や除染土のずさんな管理体制、子どもたちの甲状腺がん、各地の原発再稼働…状況は深刻であるにも関わらず、それとは相反して人々の関心は薄れ、放射能に関する話はタブーであるかのような場面も多くあります。福島のことを考え行動し続ける事に意味はあるのだろうか、子どもたちや私たちの未来に希望はあるのだろうか、と悩んでいた最中でした。
 そのような中で、私と糖尿病の子どもたちの出会いは、2015年春、ベラルーシ・ドイツ・日本 三ヵ国交流ツアーに参加し、糖尿病の子どもを対象とした支援プログラムに同行した時でした。Ⅰ型糖尿病(肥満などが原因ではなく、血糖値を下げるインスリンというホルモンが急に分泌されなくなり発症する)の子どもたちは、ここで生涯を通した糖尿病との向き合い方を学びます。病気と闘う子どもたち、未来に希望を繋ぐために奮闘する大人たち、過酷な政治状況・・・。私たちがベラルーシから学ぶべきことはとても多く、そしてそのどれもが必至です。
 2016年は福島原発事故から5年、チェルノブイリ原発事故から30年という節目の年であり、人類の起こした過ち、本物の安全、豊かな生き方とは何か、折りにふれ確かめなければなりません。そして、そこから生まれた希望を未来に繋げていくことも私たち日本人の大きな役目だと思っています。
 日本の未来の一つのかたちであるベラルーシから学んだことを、たくさんの人に伝えたい。

最後に、この絵画展を開催するにあたり、たくさんの方々に支えられて準備を進めてまいりました。心から感謝申し上げます。

  

  八島 千尋

 

 

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